鹿児島県弁護士会
(6) J大学病院での経過
ア同月3日深夜から翌4日にかけての転院時には、亡Aは、意識がない状
態であり、白血球は10000、CRPは25.1mg/dlであり、J大学
病院では、敗血症性ショックとこれによる急性腎不全及び心不全との診断
の下、ICUにて治療が開始され、再度、IVHカテーテル及びスワンガ
ンツカテーテルが挿入された。
翌日の検査では、β-D-グルカンは52
20pg/mlであり、6月5日の血液検査の結果、カンジダ抗原が検出され、
そのころには、被告病院で使用されたカテーテル先端からもカンジダ抗原
が検出されたことが明らかになったことから、カンジダを原因菌とするカ
テーテル感染症と診断され、同日より、抗真菌剤であるフロリードが投与
された(甲A4〔4〕、乙A1〔55〕、乙A5〔19、40、80、98、
99〕、K〔13、27〕、D〔7〕)。
また、同日のCT検査によると、術後の吻合部周囲に少量の腹水があっ
たが、縫合不全はなく、腹腔内等には膿瘍は認められず、深在性の真菌症
の原因となるような大きな感染源は発見できなかった(乙A5〔104〕、
K〔32〕)。
イ6月22日より、亡Aには下血が認められ、7月3日まで下血が継続し
た。
6月25日の血液検査の結果、サイトメガロウィルスによる出血性腸
炎が判明したが、7月6日には陰性化した。
亡Aは、同月10日、ICU
から一般病棟に転出した(乙A5〔82、84、86、87、138ない
し148〕)。
ウ一般病棟に転出後は、週に2ないし3回の頻度で、ICUにて透析が行
われた。
退院に至るまで、亡AのCRPは3.2ないし21.7mg/dlの
間で推移しており、β-D-グルカンの値も高値を維持していた。
亡Aに
は、時に「ありがとう」、「ごちそうさま」等の発語が見られ(乙A5〔2
08〕)、頷く等の動作をすることもあったが、積極的な意思表示はできず、
家族とも十分なコミュニケーションが取れない状態であった(乙A5〔1
48ないし220〕、D〔8、9、16〕、E〔9、10〕)。
エ全身状態が徐々に改善したため、10月12日から流動食を開始したが、
腎不全は依然として継続していたことから、慢性腎不全に対する透析を継
続するため、同月18日、亡Aは、被告病院からM病院(以下「M病院」
という。)に転院した。
転院時の検査によれば、白血球は6000、CR
Pは7.1mg/dl、β-D-グルカンは3083pg/mlであった(乙A4
〔5ないし7、41、42〕、乙A5〔215、220〕)。
(7) M病院での経過
アM病院においても、亡Aの腎不全に対しては、週3回の頻度で、透析治
療を続けた(乙A4〔96ないし106〕)。
亡Aは、M病院入院時には発熱もなく、一般状態は比較的良好であった
が、10月20日に細菌検査を行った結果、緑膿菌及びMRSA感染が見
られた。
11月中旬の検査では、感染は見られなくなったが、その後は感
染が継続した(乙A3〔17ないし32〕、乙A4〔96〕)。
M病院入院中におけるCRPの値は、2.4ないし9.5mg/dlの間で
推移しており、正常値をとることはなかった(乙A3〔36ないし3
9〕)。
イM病院入院時の亡Aの意識レベルは、JCS?レベル(刺激に応じて一
時的に覚醒する)であった(乙A4〔76〕)。
入院期間中、亡Aは、食事は摂取していたが、発語等の意思表示はでき
ない状態であった(乙A3〔62ないし112〕、D〔16〕、E〔2
9〕)。
ウ11月17日夕方、亡Aに、痙攣発作が頻回に見られた。
担当医師は、
亡Aの家族に対し、この痙攣は脳転移の再発及び脳梗塞が原因と考えられ、
一般状態も悪く、急変もあり得る旨を説明した。
同月18日に頭部単純C
T検査を行ったところ、明らかな腫瘍や出血などは認められなかったが、
同月19日に、頭部造影CT検査を行ったところ、明らかな変化は見られ
なかったものの、脳腫瘍が疑われるため、1か月後の再検査が必要とされ
た(乙A3〔3、4、60、89〕、乙A4〔35、107ないし10
9〕)。